処方薬をもらうために必要な書類「処方箋」はみなさんご存知であろう。2016年4月からその処方箋の電子化を解禁されました。「電子化」と聞いてアレルギー反応のように「私には電子処方箋なんて使えない」なんて不安になる方もいるでしょう。現段階(2017年時点)では電子処方箋が広く普及しているわけではありません。今後、電子処方箋を使う必要が出てきたときのため、今から電子処方箋について知っておくことが大切です。

電子処方箋の背景

医療業界の情報化の必要性は頻繁に議論されています。電子カルテなど一部ではすでに電子化が進んでいます。しかし、情報化が進んでいるシステムに注目すると、病院や診療所などの医療機関側に集中しており、薬局側は取り残されていました。そこで、取り残された薬局側も取り込んだ電子処方箋が構想されたのです。
電子処方箋の実用化に向けては、情報技術面の課題や日本の医療体制による課題など乗り越えなければいけない障壁が多く存在していました。地域医療連携システムを参考にしたり、実証実験を行ったりすることで、運用ガイドラインを策定したという経緯があります。

電子処方箋による恩恵

電子化によってもたらされる恩恵は多くあります。

恩恵①コストの削減

電子化することで、紙媒体の処方箋を発行するコストを抑えることができます。ただし、現段階ですべての薬局が電子処方箋に対応できているわけではありません。紙媒体の処方箋しか扱っていない薬局への対応として、医療機関は「電子処方箋引換証」を発行しないといけません。なので、コストの恩恵はないと言えるかもしれません。

恩恵②紛失や偽物の防止

電子処方箋は自分で持ち運ぶ必要がないので、紛失の危険性がありません。ただし、「電子処方箋引換証」を紛失の危険性があるので、取扱には注意してください。また、電子処方箋は偽造ができなくなります。処方箋の不正利用が減るので、医療機関や薬局にとって便利です。

恩恵③保管スペースの削減

薬局には処方箋を数年間保管しておくことが義務付けられています。処方箋の保管枚数が数千枚、数万枚に及ぶので、保管にスペースを取られてしまいます。電子化することで保管スペースが大幅に削減できるので、薬局にとってありがたいでしょう。

恩恵④情報共有が簡単

紙媒体の処方箋の場合、ジュネリック医薬品等への変更を更新する手順・伝達が煩わしいです。電子処方箋ではこの作業を自動で行ってくれるので、薬剤師にとってありがたいです。

まとめ

電子処方箋が導入されることでもたらされる恩恵は理解していただけたでしょう。しかし、この恩恵に与るには、電子処方箋を使い慣れないといけません。しかし、利用者だけでなく医師や薬剤師などの医療関係者もまだまだ電子処方箋を使い慣れていない方は多いです。現状、電子処方箋引換証で紙媒体の処方箋と同じように処方薬を受け取ることが可能です。徐々に電子処方箋の扱い方に慣れていくのが良いでしょう。