薬を飲み忘れてしまった経験は誰しも1度だけではないはず。そんなときに、一度に複数回分の薬を飲めたら飲み忘れが減るのになあと思うかもしれない。しかし、そうしてはいけない理由がちゃんとあります。

薬の効果を持続させることが大切

薬の効果は持続させるためには、薬の有効成分の量を適切な範囲で維持しないといけません。1度に大量に薬を服用しても、長い期間効果を得ることができません。
この点で、薬は食べ物の栄養と似ています。私たちは普段の生活からビタミンなど体に良い栄養は継続して適切な量を取れば、長期間の効果を得られることを知っています。しかし、途中で継続を断念してしまうと、効果を感じなくなることもわかっています
薬も同じで、適切な量を継続的に飲み続けることで、病気に効果があります。しかし、薬を飲み忘れたりすると、また病気の症状が現れてしまいます。

薬の適切な量は異なる

ビタミンCやビタミンDなどそれぞれの栄養をすべて同じ量を摂取すればいいわけではありません。それぞれの栄養で私達の体に適切な量が異なります。薬の同様で、薬の成分ごとに私達にとっての適切な量は異なります。しかし、専門知識のないのに、薬の量を計算できるわけがありません。そこで、薬剤師が私達にとって適切な量を計算してくれます。なので、服用する際は薬剤師の指示に従うのがいいです。

薬の用法とは

薬の「用法」とは、食前や食後のように薬を飲むタイミングのことです。薬を処方してもらう場合、薬剤師が指導してくれる薬を飲む時間のことです。用法を大きく分類すると次のようになっています。

食前:食事の30分前程度

胃の中に食べ物が少ないと、薬の効果があらわれる時間は短くなることが期待されます。吐き気止め薬などが当てはまります。ただし、胃を荒らしやすい薬は食前に飲まないようにしてください。

食後:食事の30分後程度

胃の中に食べ物があると、薬による胃への刺激を和らげてくれます。食後と指定されたら、薬を飲む前にちょっとでもいいので何かしら食べるようにしましょう。糖尿病薬のように、必ず食後でないといけない薬もあります。自己判断で薬を飲むタイミングを変更せず、医師に相談するのが安全です。

食直前:食事の5分前程度

薬の副作用を抑えるために、食事の直前に薬を飲みます。「食前」では薬の副作用が現れる可能性があります。「食直前」と指定されたら必ず食事の直前に飲むようにしてください。

食直後:食事の5分後程度

食事の直後に飲むことにより、薬も食べ物と同様に胃で消化されます。消化酵素を含む薬や貧血を治す薬などは食直後に飲むといいと考えられています。

食間:食事と食事の間

食間とは、食事と食事の間に飲むことで、例えば、朝食と昼食の間のことを指します。目安としては、直前の食事の1,2時間後になります。くれぐれも、食間を食事中と勘違いしないでください。

時間毎:指定された時間

食事とは関係なく、薬の処方時に指定された時間に薬を飲んでください。

頓服:指示に従って必要な時

頓服とは、特定の症状が出たときだけ飲むことです。他の薬の用法とは異なり、1日に何回飲むと指定されません。医師や薬剤師の指示に従いましょう。

まとめ

このように薬の効果をしっかりと得るためには、1度に薬を大量に飲むのではなく、薬剤師の指示に従って継続的に飲み続けることが大切であることがわかっていただけたでしょう。ただし、薬の副作用と思われるものが現れたら、薬の服用をやめてすぐに医師や薬剤師に相談するようにしてください。