漢方薬 と聞いた時、みなさんはどのようなイメージを持ちますか?多くの方が漢方は継続的に摂取して体の治癒能力を徐々に高めていく薬だと思っているかもしれません。確かに、そのような薬でもありますが、漢方はそれだけではありません。あまり知られてはいませんが、即効性をもっている漢方も存在します。ここでは、漢方の性質を知る上で重要である「補剤」と「瀉剤」という言葉を解説していくので、みなさんの漢方に対する知識を広げていただきたいです。
「補剤」とは
漢方の性質には、「補剤」と「瀉剤」という考え方があります。まず、「補剤」ですが、「ほざい」と読みます。補剤は,体に足りていないものを“補”い、病気や症状に対する免疫力を高めるための体力や抵抗力を高める薬”剤”です。免疫力はすぐには高まらないので、「補剤」の性質をもつ漢方は、継続的に摂取することでゆっくり効果が効いてきます。
「補剤」=私達がイメージする漢方
「補剤」の説明を読んで、私達が普段イメージする漢方に近いと思った方もいるでしょう。そのとおりで、補剤は時間をかけて体の治癒能力を向上させるため、 慢性病や慢性疾患の治療に使われています。
「補剤」の場合、数回の摂取では効果を期待できないため、最低でも 2~4週間程度の定期的な摂取は必要だと言われています。
市販薬としても購入できる「補剤」の漢方とは
補中益気湯
補中益気湯は、胃腸の消化や吸収を調整し、気力や体力、食欲を戻すことで、病気や症状に対する抵抗力を高める漢方です。体力が衰えていたり、元気がなかったりする際に、胃腸のはたらきが衰えてやすいので、摂取してみても良いかもしれません。
六君子湯
六君子湯は胃腸などの消化機能を向上させる漢方です。継続的に食欲不振や胃もたれなどで悩んでいる方が摂取することで、症状の改善につながることが期待されます。
八味地黄丸
八味地黄丸は、体力の低下に伴う疲労や倦怠感、体の冷えの改善に効果のある漢方です。特に、高齢者に用いられることが多く、体を温めることで症状の改善につながることが期待されます。
「瀉剤」とは
一方で、「瀉剤」ですが、「しゃざい」と読みます。瀉剤は、病気や症状の原因そのものを攻撃しやっつけるための薬剤です。原因に直接攻撃するため、瀉剤は即効性があります。「瀉剤」の性質をもつ漢方は、摂取した後一定時間経つと効果が現れてきます。
「瀉剤」=西洋薬に近い漢方
西洋薬は症状を迅速かつ的確に攻撃する薬なので、漢方の「瀉剤」に似ています。ただし、全く同じであるというわけではありません。漢方の場合、患者の体調などに合わせて、「瀉剤」と「補剤」を組み合わせて飲むことがあります。つまり、両者を併用することで病気や症状の回復を早めることが可能なのです。
市販薬としても購入できる「瀉剤」の漢方とは
麻黄湯
麻黄湯は発汗作用があり、かぜの初期症状に効果がある漢方です。特に体が丈夫な方や新陳代謝の良い小さいこどもに効果的だと言われています。
葛根湯
葛根湯は発汗を促進することで熱を下げ、風邪を治すための漢方です。風邪の初期や急性期に用いると良いと言われており、風邪を発症してから1~2日の間の摂取が効果的だとされています。
まとめ
このように漢方には「補剤」と「瀉剤」という大きく2つの性質があり、期待する効果によって摂取すべき漢方は異なります。国内ではまだまだ処方が進んでいない漢方ですが、漢方専用の薬局などが徐々に増えてきているので、ぜひみなさんのお近くの漢方薬局を検索して訪れてみてください。