処方箋 では医師によって処方薬の量と日数が指定されています。処方箋を確認して、「もっと薬を出してほしい」と思った経験があるでしょう。1回で多くの処方薬をもらえれば、また薬をもらう手間が省けます。しかし、必要以上に薬をもらうと、薬を服用しすぎたり家に薬が増え過ぎたりと問題があります。適切な薬の量がどれくらいなのかは難しい質問ですが、法律ではどのように制限されているのでしょうか。

薬の投与日数の法改正

平成28年度診療報酬改定で、医薬品の適正使用が推進されました。

医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。
なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。
ア 30日以内に再診を行う。
イ 200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。
ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方せんを交付する。

薬の投与日数については、新医薬品や麻薬及、向精神薬などの薬は例外を除き、上限が30日間となり、それ以上の日数を処方するためには条件が設けられています。医師の判断によって、30日間以上処方する場合は、以下の3条件を満たす必要があります。

  • 病気の症状が安定している
  • 正しい服用が継続できる
  • 病気の症状が変化した際の連絡先を教える

この3つの条件を満たせない場合でも、

  • 30日以内に再診を行う
  • 他の医療機関(200床未満)に紹介を行う旨の伝える
  • 医師が分割調剤を行うよう処方箋に記載する

薬の投与日数について法律ではこのように定められていますが、風邪などのすぐ治るような症状で30日間近い処方をうけることはまずありません。30日間近く、あるいはそれ以上の処方をうけるのは、持病や慢性的な症状を抱えている方々です。

薬局における分割調剤の対応

薬の投薬日数が30日間以上になる条件の一つとして、「医師が分割調剤を行うよう処方箋に記載する」という条件があります。この条件は、処方薬が長期間の保管が困難な薬であることや、患者の服用管理能力が乏しいといった理由から設けられています。
分割調剤については、医師が処方箋の備考に分割日数とその回数を記載してくれます。なので、患者は薬局で1回分の処方薬と処方箋をお渡しします。処方箋には1回分を受け取ったことが記載されています。2回目以降の調剤を受け取る場合、調剤が完了していない処方箋を提出すれば、処方薬を受け取れることができます。