漢方薬 には保険適用されるものがあることを知っていますか?あまり知られていないことかもしれないが、漢方薬の148処方が保険の適用となっています。患者の体質や症状にあわせて薬を作る漢方薬が保険適用され、患者は3割負担で購入できることは喜ばしいことです。しかし、西洋薬が中心の現代医学のなかで、漢方薬の保険適用は難しい立場に立たされたことも歴史の中ではありました。

西洋薬の保険適用の始まりは1955年

現代医学が西洋医学をベースにしていることを考えると当然ですが、西洋薬のほうが漢方薬より先に保険適用されました。1955年から保険診療の「基準価格表」の中に医薬品の価格が定められるようになりました。そして、1957 年に健康保険診療報酬計算規定による点数表に,現在の薬価基準が含まれるようになりました。これが我が国における薬の保険適用の始まりです。

漢方薬の保険適用は1967年

一方の漢方薬が初めて保険適用として認められたのは1955年から12年後の1967年です。このとき保険適用となった漢方薬は4種類でした。2018年時点で、漢方薬では148処方が保険適用となっていることを考えると、少しずつではありますが保険適用となる漢方薬の数を増やしてきたことがわかります。

漢方薬の「保険外し」議題

ただし、漢方薬の保険適用は必ずしも順調であったわけではありません。漢方に対する風当たりは厳しく、漢方薬の「保険外し」という議題はこれまで何度が取り上げられたことがあります。この四半世紀の中では、1993年、1998年、2009年の3度行政側から財源問題を理由に漢方薬の保険外しの議論が取り上げられています。

事業仕分けの議題でもあった

漢方薬の保険外しが議論された中では、2009年の行政刷新会議の事業仕分けが最も新しいものであるはずだ。このときは、「漢方薬は保険適用から外すべきだ」という結果になった。しかし、医師や患者を中心に反対運動が巻き起こり、保険適用外という結果は覆りました。このとき反対運動では3週間で約92万筆もの署名が集まったという報道がなされています。

今後も漢方薬の「保険外し」議論は起きる可能性

漢方薬は現在保険適用されているものもありますが、これまでの議論を振り返ると今後どうなるかはわからないのが正直なところです。しかし、すでに日常的に漢方薬を服用している患者のことを考えると、漢方薬の保険外しは負担増につながることから避けてほしいですね。