薬は大きく市販薬と処方薬に分けることができます。処方薬とは医療機関で 処方箋 をもらい、保険薬局にもっていくことでもらえる薬のことです。保険が適用されるため、70歳未満の場合かかる費用の3割負担で購入することでできます。では、 漢方薬 にも保険適用されることはあるのでしょうか。
漢方薬にも保険適用となるものがある
保険適用となる薬は西洋薬に限らず、漢方薬も含まれています。2018年時点では148種類の処方に保険が適用されています。漢方薬の処方箋をもっていけば、漢方薬局だけでは一般的な保険薬局でも処方漢方薬をもらうことができます。
処方量は全体の数%に過ぎない
優れた効果をもっている漢方薬に保険が適用され、3割負担で購入できるということは、患者としてはうれしいことです。しかし、国内で保険適用される処方薬を分析すると、漢方薬が全処方量に占める割合はわずか数%に過ぎません。慢性疾患などに優れた効果があるとされているのに、漢方薬があまり活用されていないというのが現状のようです。では、どうしてこのようなことが起きているのでしょうか?
現代医学における根拠が不十分?
漢方薬は中国が発祥の地であり、中医学をベースにしています。中医学とは、現代医学がベースとしている西洋医学とは異なる部分があります。そのため、漢方薬が素晴らしい効果を発揮することがわかっていても、現代医学の枠組みでは十分に活用しきれないという問題が起きてしまっているのです。その最大の原因は現代医学で重要視されている科学的な根拠が不明瞭だということが言われています。
漢方はこれまで「陰陽論」「五行説」などの考え方に基づいて、「四診」「証」「気血水」などの独自の診断法、治療法を発達させてきた歴史があります。これらの方法は、医者が五感をすべて活用しながら、ひとりひとりの患者の症状を見極めていく治療スタイルです。医者個人の感覚によって診断法が決められ、漢方薬の効果も調剤する医者の腕に依存する部分が大きくなってしまいます。
西洋医学の場合はどんな医者がある薬を処方してもある程度の効果を期待できるので、大きく異なっていることがわかるでしょう。西洋医学の立場に立つと、漢方は医者に依存しており、効果がある理由が不明瞭な部分があるように見えてしまうのです。
(人の命を預かる現代の医療現場では、誰が処方しても効果が期待できる薬を用いるのはとても安心できる選択ということになります。つまり、西洋薬が好んで処方されてしまうということです。漢方薬の多くが急性の病気や症状に処方されないのも、そうしたところにも理由があると考えられます。)
漢方薬の研究は進んでいる
ただし、漢方薬の効果に関する研究は行われているため、これから徐々に現代医学における根拠は積み上がっていくはずです。そのため、我々の身の回りでももっともっと漢方が使われるようになり、多くの方が漢方の恩恵を教授することになっていくでしょう。保険適用の対象となる漢方薬も増えていくはずです。