薬には粉薬や錠剤など様々な形があります。その理由は、薬がそれぞれの使用法や目的に合わせて、私達の体によく効くようにするためです。それでは薬の形とそれぞれの特徴を見ていきましょう。
内用薬
内用薬とは、口から服用する薬で、一般的に飲み薬と言われています。薬の成分が腸で吸収されることにより、薬の効果が得られます。内用薬は大きく4つの形状に分類することができます。
粉薬(散剤・細粒剤・顆粒剤)
粉薬は1種類または複数の薬を調合してあります。薬の成分とは関係のない乳糖などを混ぜることで、飲みやする工夫がなされています。粉薬は、調剤方法により更に3つに細かく分けることができます。細粒剤や顆粒剤は、一粒一粒コーティングしてあるものもあります。
粉薬の特徴
- 腸で吸収されやすく、早く効く
- 長く保存がきく
- 包装の開け方によっては粉が飛び散る
- 量の調整が簡単である
水薬(シロップ剤)
水薬とは、粉薬や錠剤を上手に飲めない乳幼児などのために薬を水に溶かした薬のことです。一般的に、処方される際は、1つの容器に複数回の投与量がまとめられています。薬剤師に指示された量を1回1回スポイトなどで計る必要があります。
水薬の特徴
- 飲みやすいように味を調整できる
- 乳幼児に飲ませやすい
- 長い保存には不向きである
- 冷蔵庫で保管する
錠剤
錠剤はさらに細かく4つに分けることができます。
- 裸錠:吸収されやすいようにしてある
- 糖衣錠:強い苦みを感じさせないためにコーティングしてある
- 腸溶剤:腸でタイミングよく溶けるようにしてある
- 徐放剤:成分の吸収量を増やすため溶け出す時間を調整してある
どの錠剤にしてもしっかりと効果を得るためには、コップ1杯くらいの水が必要になります。水の量が少ないと、食道の途中でひっかかったりしてしまうため、効果が弱まったりしてしまいます。また、錠剤は砕いて飲んでいいいものとそうでないものがあるので注意してください。
錠剤の特徴
- 薬の持ち運びがしやすい
- 長く保管できる
- 苦味を感じにくい
カプセル剤
カプセル剤とは、溶けやすいカプセルの中に粉状や液状の薬を入れている薬のことです。中に入っている薬をそのまま飲むと、強い苦味を感じたりします。
カプセル剤の特徴
- 様々な薬を中に入れられる
- 湿気に弱い
- カプセルを砕いてはいけない
外用薬
外用薬とは、人に直接塗ったり垂らしたりすることで用いる薬のことです。主に、皮膚や目、口、鼻、耳に用いることが多いです。外用薬の代表的なものを紹介していきます。
軟膏剤
軟膏剤とは、皮膚に付着させ有効成分が傷や肌荒れに長く触れるようにする薬のことです。一般的にはチューブ状やプラスチックの容器に入れられています。傷や肌荒れに直接塗っても、刺激が少ないので、広く利用されています。
軟膏剤の特徴
- 刺激が少ない
- 保湿性に優れている
- 傷口に直接使える
- べたべたする
貼り薬
貼り薬は大きく2種類にわかれます。
- 肩こりや筋肉痛などの局所的な部位に効くもの
- 皮膚から吸収し血管やリンパ管により全身に効くものの
目的によってどちらかの貼り薬を選択して使用します。
貼り薬の特徴
- 大きさを切り取ることで調整できる
- 剥がれやすい
- 定期的に貼り替える
点眼剤(目薬)
点眼剤とは、目に垂らして使う薬です。点眼剤を入れる容器にまつげなどが接触すると、薬に菌が入ってしまいます。点眼剤を使用するときは、必ず目から一定距離あけるようにしてください。また、他人の点眼剤を使うのは危険なので止めるようにしましょう。
点眼剤の特徴
- 刺激を選択できる
トローチ
トローチとは、口の中でゆっくりと溶かしながら使う薬です。溶け出した有効成分が口や喉に広がり、効果を得ることができます。風邪などの症状を和らげるために用いられれます。
トローチの特徴
- 長く効果がある
- 口のなかで溶かさないと効果を得にくい
- 窒息の危険を防ぐために真ん中に穴がある
座薬
座薬とは、肛門から腸に直接挿入し吸収させる薬です。飲み薬を嫌がる乳幼児などには座薬の使用が効果的です。
座薬の特徴
- 飲み薬を嫌がる子どもに使える
- 冷蔵庫で保管する
注射剤
注射剤とは、針で皮下の組織や血管に直接投与する薬のことです。糖尿病薬を除き、注射剤を投与する機会は病院、または予防接種会場にほぼ限られる。
注射剤の特徴
- 薬が効くのが早い
- 投与量が少なくて済む
- 注射の技術を要する
- 消毒や殺菌をしないといけない