漢方薬 で知っている薬の名前を教えてください」を突然質問されたら、みなさんは何と回答しますか。「漢方薬は漢方薬でしょ?」「わからない」などと答える人もいるでしょう。頭痛薬や風邪薬のような西洋薬に比べて、漢方薬について詳しく知っている人は多くないはずです。そこで、ここでは漢方薬について詳しく説明していきます。

漢方薬とは

漢方薬とは、中国を発祥の地とする中医学が5~6世紀にかけて日本に伝わったことを始まりとする薬学です。日本伝来以来、日本人の体質に合わせて独自の発展をとげています。現在では日本の伝統医療に位置づけられています。

「漢方」という名前は江戸時代に西洋医学を「蘭方」と呼んだのに対し、漢の時代に伝わった東洋医学を「漢方」と呼んだことにの由来しています。

漢方薬の法律上の分類

漢方薬は法律によって大きく2つに分類されています。

医療用漢方製剤

医療用漢方製剤とは、医師の 処方箋 を必要とする漢方薬のこと。医療用であるので、健康保険が適用されます。

一般用漢方製剤

一般用漢方製剤とは、ドラッグストアなどで購入できる漢方薬のこと。健康保険は適用されないので、購入は全額自己負担になります。

医療用と一般用の違いとは

実は、漢方薬の名称が同じであれば、医療用でも一般用でも、含まれている生薬の成分はほとんど変わりません。なので、医療用漢方製剤と一般用漢方製剤の大きな違いは、含まれている成分の含有量にあります。含まれないといけない成分量は法律によって規定されています。具体的には、医薬用は生薬から抽出された成分量のすべてを、一般用は成分量の50%以上を含めばよいとなっています。

 このため、医療用のほうは効果が強く、一般用のほうは効果が弱いと考えられます。ただし、医療用は副作用の危険性に注意しましょう。

漢方薬の承認基準とは

漢方薬は数多く存在します。しかし、安全面や効果の観点から、すべての漢方薬を医薬品として製造・販売を許可しているわけではありません。

漢方薬が医薬品として承認されるには、まず一般用漢方製剤承認基準という審査基準を満たさなければいけません。名称や成分、効能などに基準を設けています。それらを満たし承認されると一般用医薬品として製造・販売することができます。平成24年時点で、294の漢方薬が国内で一般用漢方製剤として承認されています。

また、医療用として承認されるためには、生薬の成分の配合根拠を示す資料を作成する必要があります。生薬の成分の配合根拠を示すハードルは高く、ときには臨床試験や動物試験を要求されることもあるそうです。医療用漢方製剤として承認を得るのは非常に難しいの現状です。平成24年時点で、148の漢方薬が国内で医療用漢方製剤として承認されています。