[有限会社サンハロン 代表取締役] 菅井 正美氏
行政が薬局に求める役割は、「地域医療・地域の健康」への積極的な働きかけである。具体的には、「在宅診療への対応」「かかりつけ薬局化への対応」「健康をサポートする役割を担うこと」である。
しかし、冷静に求められている役割を考えた時、その本質は「地域医療が総体的に発展し、地域の健康が維持・改善する方向に導くこと」である。このような捉え方をした時、様々な地域医療の発展に寄与の方法が見えてくる。
そんな中、「地域医療の発展に対して何ができるか」を考えて、自社にあったビジネスモデルを構築している薬局が徐々に出てきた。その一つが今回取材した、有限会社サンハロン。「地域医療」を俯瞰的な視点で見つめ、次世代の地域医療のために”教育”という要素を取り入れた経営戦略・取り組みを行っている。
—はじめに、有限会社サンハロンについて簡単にご紹介いただけますか
有限会社サンハロンは、東京都世田谷区を中心に3店舗のゆずき薬局、そして子供向けの知育レジャー施設を1つ展開しています。当社は2001年に創業し、今年(2018年)で創業17年目を迎えます。
私達が店舗を構える世田谷区は住宅街で、ファミリー層が多いのが特徴です。親子、もしくはその上の世代まで、日常的に幅広い世代の方々と触れる機会が非常に多いです。それぞれの世代で薬局に対する要望や注意点が違うので、服薬指導の方法などを工夫しています。
—今後どのような薬局を目指していくべきだとお考えですか
ファミリー層が多いという地域特性を踏まえ、これからの「地域医療」に対し私達の薬局がどのように貢献できるかを真剣に考えていかなければならないと考えています。その際、私達は「子供の健康・教育」という観点は非常に重要だと感じています。
行政は2025年の超高齢化社会へと突入するのに備え、「かかりつけ薬局」「在宅診療」への対応を薬局に求めていると思います。たしかに、高齢者の健康を支えていくためには、薬局がこのような変化に対応していくことはとても大切だと思います。
しかし、本当に将来の地域の健康・医療を考えた時に、”子供(を含む世帯)”のサポートを薬局が主体的に行っていくこともまた高齢者の健康を支えるのと同じくらい大切だと思っています。
—なぜそのようなサポートが重要なのでしょうか
高齢者によって、子どもや孫の成長はうれしいものです。自分の子どもや孫はもちろん、その地域に住む子どもの成長は微笑ましいはずです。少しでも子どもたちの成長を見守りたいという思いが芽生えたりするので、日々の生活が前向きになります。このように、子どもの存在がその地域の高齢者の健康に良い影響を与えることができます。
—子供向けの知育レジャー施設を展開していることと関係しているのでしょうか
私達はある1店舗に、小児科医が監修した知育遊具を設置した施設「ゆずきッズ」を併設しています。「ゆずきッズ」は、遊びを通じてカラダ・頭を刺激する知育施設として位置づけています。
元気に遊んでいる子ども達の姿から、現場で働いている職員や薬局に足を運んでくれる高齢者の方は元気をもらい、今日も頑張ろうという気持ちになっているという話を聞いています。
さらに、地域の花火大会のときにその施設を一般解放したり、様々な講習会・セミナーなどにつかえるスペースとして貸し出したりと、”地域のコミュニティスペース”としても広く提供しています。少しでも地域に開いた薬局にしようと、施設の活用方法をもっと広げることも検討しています。
このような「子供が安心して遊ぶ空間」が地域にあることで、地域住民の方の安心の生活にも繋がると思っており、少子高齢化の「少子化」にアプローチができる薬局でありたいと思っています。
薬局のあり方は、その地域性も考え、色々なアプローチがあると思います。私達はこの施設に足を運んでくれた子供を通じて、その家族や地域の方が健康相談の拠り所として私達の薬局を利用してもらいたいと考えています。
【企業プロフィール】
企業名 | 有限会社サンハロン |
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設立 | 平成13年8月 |
資本金 | 300万円 |
事業所 | 東京都世田谷区世田谷4-12-10オリンピックマンション |
会社URL | http://www.sunhalon.co.jp/lang/ja |