誰もが病院で処方せんをもらい、薬局で処方薬を購入するという一連の流れを経験があるはずです。もちろんご存知だと思いますが、この一連の流れを行わないと購入できない薬があります。「処方箋をもらうのが面倒!」、「処方箋なんて必要ない!」と思う方もいるでしょう。しかし、処方箋にはちゃんと役割があります。

そもそも処方箋とは

処方箋とは、病院や診療所、歯医者などで診療を受けた際に、医師が必要に応じて処方する薬の種類や量、服用方法などがまとめられた書類のことです。この書類の内容を確認し薬剤師が薬を調剤します。

処方箋に書かれている内容

  • 保険者番号
  • 患者情報(氏名・生年月日・性別)
  • 発行した医療機関情報
  • 処方したい薬の情報(種類・形状・量など)
  • ジェネリック医薬品への変更

処方箋のメリット

処方箋があることで患者にもたらされるメリットがあります。

メリット①履歴が残る

薬局では処方箋の情報を管理しています。同じ薬局を使っていれば、処方履歴が蓄積されていきます。しかし、薬局の間では処方履歴は共有されていません。いつも利用している薬局とは違うところを利用する場合、お薬手帳を提出するなどして自分の処方履歴を知ってもらうのがいいでしょう。

メリット②処方された薬が確認できる

処方箋には病院で処方された薬の種類などを確認することができます。服用したことがある薬であれば、「あれね!」などと安心できます。聞いたこともない薬の場合、自分でインターネットや本などで検索することで薬の情報を把握することができます。

メリット③薬剤師とのコミュニケーション

処方箋は薬局で薬剤師に提出する必要があります。この際に薬剤師が処方箋を確認し、気になるポイントなどを質問されることがあります。また、患者が処方箋や自分の体調などで不安なことを薬剤師に伝えることができます。このように患者と薬剤師がコミュニケーションを取るが、より安全な薬の服用につながります。

メリット④調剤薬局を探せる

処方箋があればどの薬局で薬を受け取るかは患者の自由です。普段から利用している薬局や評判の良い薬局など、自分の判断で決めることができます。

医薬分業と処方箋

日本では、患者の診察・薬の処方を行う医師と薬の調剤を行う薬剤師を経営的に独立させる「医療分業」が進んでいます。そのため、一般的には、患者は処方せんを受けて、院外の薬局で処方薬を購入するようになっています。処方箋が分業体制の両者をつなぐ役割をしています。
一見すると、処方箋は医師から薬剤師に「このように薬を調剤しなさい」という一方的な命令書のようにも見えてしまいます。しかし、実際には薬剤師が処方箋を確認し、医師に「この処方箋の薬を本当に患者に渡して大丈夫ですか」などと確認することがあります。医師から薬剤師、薬剤師から医師の双方向の関係性があるからこそ、患者が安心して服用できる薬を提供できています。