薬局に処方箋を提出してから処方薬の受取まで長い時間がかかることがあります。「私より後に薬局に来た人がもう処方薬をもたっている、なんで??」と思われた経験のある方もいるでしょう。しかし、そんなときに、「どうして私には時間がかかっているの?」「早く俺の薬を出せ!」などと口に出してはいけません。
薬剤師の調剤のお仕事
薬剤師の調剤のお仕事を、薬を混ぜて袋に詰めるだけと勘違いされている方がいるかもしれません。実際には、薬剤師は薬の専門知識・経験を活かして、ミスが起きないように調剤を行っています。また、大前提として、処方箋の内容は、その人の年齢や身体状況、病状によって異なります。処方箋の内容によって、行わなければいけない仕事やその時間が変わってきます。
それでは、処方箋を受け取ったときからの薬剤師の仕事を詳しく見ていきましょう。
仕事① 処方箋の確認
薬剤師は処方箋を受け取ると、2つの確認作業を行います。まず、医師の記入漏れやミスなどの形式的確認、そして処方の内容の薬学的確認になります。
仕事② 薬歴の確認
利用したことがある薬局の場合、前回までに処方された薬の情報が薬歴として記録されています。薬剤師はその人の薬歴を確認しながら、副作用の危険性などを確認します。
仕事③疑義照会
処方箋の内容や薬歴の確認を通して、薬剤師が処方箋の内容に間違いがあるのではないかと判断したら、医師にその旨を伝えなければいけません。場合によって、処方箋の内容が変更になることもあります。
仕事④調剤
処方箋の内容で調剤をしてよいと判断したら、調剤を行います。薬の種類や形状によって調剤方法が異なります。また、基本的には、処方箋の用法・用量に従って、調剤を行いますが、時に患者の状況を判断しながら服用しやすいように薬をひとまとめなどにします。
仕事⑤調剤監査
調剤が処方箋通りに行われているかを確認します。この作業が調剤の流れで最も大切な作業になります。この作業を行わないと、調剤ミスをしたまま患者に薬を提供する危険性があるからです。
<調剤監査の確認事項>
- 処方箋や薬歴の再確認
- 薬袋の記載事項の確認
- 調剤した薬の種類、数量の確認
- 薬の調剤方法の確認
- 薬剤情報提供書の内容の確認
言葉にすると短いですが、一つひとつの監査を丁寧に行っているので、時間がかかることは仕方ありません。
仕事⑥薬の説明、服用の指導
処方薬を渡す際に、薬とその服用に関して説明することが義務付けられています。薬剤師は説明を聞いた患者の表情などから悩みや不安を感じ取り、適切な説明を加えるよう努めています。説明が終わったら、薬剤師が薬を患者に渡します。
まとめ
このように薬剤師の方は我々からは見えないカウンターの奥で多くの仕事を行いながら処方薬の準備をしてくれています。これらすべての仕事が服用者の安全ためのものです。薬局で処方箋を受け取るのに時間がかかったとしても、次回から「自分の安全のため」と理解して待ちましょう。くれぐれも、調剤ミスにつながりかねないので薬剤師を急かさないようにしてください。